カナリア鳴く空
車に乗ったその時だった。

「あ、ケータイ」

バッグの中を見ていた優衣がスマートフォンを取り出した。

鳴っているのか、イルミネーションがチカチカと光っている。

「どうぞ」

私は優衣に電話に出るよう薦めた。

優衣は画面をタップしてスマートフォン耳に当てると、
「もしもし?

…あ、ママ?」

朝香からの電話だと知ったとたん、私の心がざわついた。

「えっ、君塚さん?」

朝香の前では優衣はそう呼んでたなと、私は思った。
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