カナリア鳴く空
寝室のベッドについて、服を脱がせても、私と優衣は何度もキスを交わした。

これからすることを、準備するように。

今まで隠していた気持ちを、埋めあうように。

「――優衣…」

私は上から、優衣を見下ろした。

「怖く、ないか?」

私の質問に、優衣は首を横に振った。

「怖い訳、ないじゃないですか」

優衣の両手が、私の首に回った。

グンと、私の顔と優衣の顔の距離が近くなる。

「もう、我慢できないんです…。

誠司さんが、欲しくて仕方がないんです…」

そう言った優衣に、私は愛しくて仕方がなかった。
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