レッスン ~甘い恋の手ほどき~
今日、彼にそんなアポイントは入っていなかったはず。それに、なんだかここには場違いな人だ。
不思議に思いつつ、待っていただいて、深谷さんに来客を告げた。
「チッ」
珍しく顔をしかめた彼は、一瞬険しい顔をする。そんな彼を見たのがはじめてて、なんだか戸惑ってしまった。
「奥に通してくれる?」
「はい」
彼に言われた通り、室長室に西川さんをお通しして、お茶を出す。
お茶を持っていくと、何ともいえない緊張感が漂っていて、私まで緊張してしまう。
「片桐、下がっていい」
「――はい」