Tricksters2ッ
好き勝手は許さない
「上海蟹って、うまいんだな」
「だろ?」
ゼンは甲羅を器にして紹興酒を飲む。カニみそと紹興酒のコンビって、オヤジっぽいけど贅沢だ。
「藍莉、何たくらんでるんだろうな?」
「あの子、俺より淳一のことが好きだろ? つまんねーの」
ゼンは目を細めて俺を見た。バックに広がる夜景がよく似合っている。
「んな! 本気で好きなわけないだろ! 俺には李花がいるし」
「どーかなぁ、けっこう本気なんじゃね。あーあ、俺のフィアンセちゃんたぶらかされちゃった。酷いと思わない? ユカリ」