Tricksters2ッ
好き勝手は許さない


「上海蟹って、うまいんだな」


「だろ?」


 ゼンは甲羅を器にして紹興酒を飲む。カニみそと紹興酒のコンビって、オヤジっぽいけど贅沢だ。



「藍莉、何たくらんでるんだろうな?」


「あの子、俺より淳一のことが好きだろ? つまんねーの」


 ゼンは目を細めて俺を見た。バックに広がる夜景がよく似合っている。


「んな! 本気で好きなわけないだろ! 俺には李花がいるし」


「どーかなぁ、けっこう本気なんじゃね。あーあ、俺のフィアンセちゃんたぶらかされちゃった。酷いと思わない? ユカリ」



< 141 / 359 >

この作品をシェア

pagetop