Tricksters2ッ


 腹が浮くような、浮遊感がある。軽く目眩がした。

 ここはひょっとして海の上か?


 丸い窓の外を見る。小さな窓の外には、暗闇だ。怠い体を起こして、目を細めた。遠くに宝石箱をひっくり返したみたいな夜景が広がっていた。





 船はその場に留まっているみたいだ。どこか目的地に向けて進んでいるわけではなさそうだ。



「誰かいるか?」



 静かな部屋の中で、俺の声だけがこだまする。



「いねーのかよ」



 それにしてもダルい。頭がズキズキと痛む。


 もう一度ベッドに倒れ込む。糊のきいたシーツを体に巻きつけた。二日酔いみたいな独特のダルさだ。

 頭が重くて、目が回る。はやく船から降りたいな。






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