Tricksters2ッ
ガラガラと玄関扉を開くと、デーンと木彫りの龍の置物がある。魔除けらしい。
この置物で、勧誘とかキャッチセールスの奴はさっさと帰っていく。
どこからどう見ても極道の家だ。
「ひっ」とビビった李花。「大丈夫だよ」と手を握った。李花は嬉しそうな顔して俯く。
「ばあーちゃん! 俺だけど、俺!」
「あいよー、あがっといでー」と馬鹿でかい声が返ってきた。
「李花、行くぞ。ばあちゃん、冬はこたつから出てこねーんだよ」
「うん!」
板の間の廊下を歩き、障子を開く。案の定ばあちゃんはこたつの中でミカンを食っていた。
「ろくに顔も見せに来ないで何してたんだい! 淳一はゴッシゴッシの大事な後継者なんじゃぞ!」
ばあちゃんがミカンをつまみながら俺をジロリと睨みつける。
「ごめん、ばあちゃ……てか、なんで?」
ばあちゃんの対面でミカンを食う女がいた。
「あ? 藍莉!? おまえ、ここで何やってるんだよ!」
「淳一! 会いたかったよー!」