Tricksters2ッ


 李花の背中をあやしながら、俺はゼンの不可解な企みに頭を悩ませていた。



 なんで、アイツが藍莉と婚約する必要があったのか?



 確か、藍莉をはじめて所長室に連れて行った時。アイツは、藍莉を知らない様な素振りを見せて逃げ出した。


 ユカリさんも一緒に姿を眩ませて、残された俺と藍莉、それに佐藤さんもいたか……三人になって、ミエちゃんの淹れた薄いコーヒー飲んで……



「そーいえば、おまえ。びっくりっぱこ、トミックカラーズでパクっただろ?」


「私、知らないよ。代表取締役は名前だけで、実際は峻お兄ちゃんが勝手に動いてる」



「嘘だぁ!」


「嘘じゃない! 私だって、お飾りで頭きてるの! レセプションパーチーにも呼ばれない社長なのよ!」



 まあ、それもそうだな。

 あの時持ち出された“びっくりっぱこ”贋作として商品化されたわけじゃない。前から、用意周到に準備してたってことか。



「香月グループが、ゼンの事恨んでるとかそういう話を親父や兄貴から聞いてないか?」


「わかんない……」



「チッ」


 使えないな。


「舌打ちしないでよぉぉぉ!」


 コタツがガタガタと動くなか、ばあちゃんだけは快適そうに昼寝してた。

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