Tricksters2ッ
「よく考えろよ。俺が一人くらい殺そうが親父は軽くもみ消すぞ。それに、おまえの顔を俺は完璧に覚えた。もし、鍵を寄越さないで邪魔すれば、いつか必ず見つけ出してテメーのケツから腸引きずり出してやる」
こえーっ!
徳田善太郎こえーよっ!
なんだ、そのリアリティ満載な脅し文句は!
若い警官は泣きそうな顔をしながら、格子の鍵を探し出した。
自分のベルトに鍵をぶら下げているのに、緊張しているのか焦っているのか、鍵が鍵穴の中に入らない。
「はやくしろ……これ以上俺を怒らせるなよ……」
地を這うようなゼンの声に「ひっ!」と悲鳴を上げた。
それから直ぐに鍵が開いて、凶悪犯が檻の外に出てしまった。
「淳一、動いたり騒いだりするなよ」
こえーっ!
俺は刃物向けられたまま解放された。
完全にびびってる警官から無線機と携帯電話を奪ったゼンは、容赦なく足蹴りして警官を格子の中に閉じ込めた。
鍵をかけると、格子から手が届きそうで届かない位置に鍵を置いて「がんばれよ」と声をかけた。