Tricksters2ッ
────「って、言ってもなー。
『ヤミ金業者』超うぜえー!
しつこいんだよ! 普通、一回出し抜かれたら、諦めないか? なあ、淳一」
十階所長室。机にグテッと倒れ込むゼン。
「まさか、はったりかよ?」
「当然だろ。あの場で俺がうろたえてどーする」
ヤミ金業者と名乗る奴は、以前にも『トリックスターズの売り上げ金の半分を寄越せ』と脅迫してきたことがある。
その脅迫に応じずに、ヤミ金業者と関わりあいがありそうなタカシくんという男を出し抜いてゼンは二十億を騙し取った。
それに益々腹を立てた相手は、『爆破予告』をしてきている。
爆破か三十億か……
「タカシくんの最近の様子は?」
「わからない。DEMEKINにもSECOI警備会社にも出入りしていない。
頻繁に接触していた武尊野銀行関係者近辺にも姿を見せていない」
「タカシくんが首謀者なのか? 単独犯てことは?」
「それはないな。俺が淳一を使いパシりにしているように、タカシくんも下っ端じゃないかと睨んでる。
これが、防犯カメラの映像だ」
パソコンの画面を通じて防犯カメラの映像を確認する。
大きな男だ。明らかに怪しい。
深く野球帽を被り、黒いコートで口元を覆っている。
「タカシくんは、こんなに背が高くないだろ?」
「確かに……」
「ユカリ、この男知ってるか?」
「知りませんよ。なんで私に訊くんですか?」
「なんとなく」