Tricksters2ッ
「ああ……」
どこまで話ていいものか。
爆破されるかもしれないって……皆知ってるのか?
でも本気で信じてる奴はいないかもな。
俺も現に『そんなことはしてこないんじゃねーの?』と思ってる。
多分、脅しだよな。そうであって欲しい。
「やっぱり、ゼン所長の成功の逆恨みですかね?」
「さあな」
そればっかりは、俺にもわからない。
アイツは犯人の正体が掴めないと言っていた。
重い段ボールを運び積み上げる。
いくつか運ぶうちに暑くなって、スーツのジャケットを脱いでワイシャツの腕を捲った。
「けっこうあるな……」
まだ半分も終わってない。
「所長代理、もうギブですか?」
「まさか」
井上くんは、ニヤリと笑う。
俺は、どっちかって言うと肉体労働派なんだよ。
所長室で書類に目を通すよりよっぽども、この作業の方が楽だ。