Tricksters2ッ
倉庫の片付けを終えた。
部屋の片隅には、ゼンと藍莉の結婚式の招待状が置いてあった。
ヤミ金野郎もこの結婚式の情報を掴んでいた。なんで、わざわざこの日を選んだんだろ?
「あ、それ。俺のです。社員全員招待しちゃうなんて、さすがゼン所長ですよね。
所長代理はスピーチとかしちゃうんですか?」
「ハハハ……どうだろな?」
その前に、この結婚式やるのかよ? 日付は、来月だけど、後数日しかない。
藍莉も急な日を選んだな……普通、何ヶ月もかけて準備するんじゃねーのかよ。
「ゼン所長は、絶対に秘書のユカリさんとデキてると思ってたのに、あんな可愛いフィアンセがいたなんてびっくりですよ」
「そうだな」
井上くんは、案外お喋りだ。勝手気ままにペラペラと喋り続ける。
「ゼン所長モテモテですよねー。俺、一年も彼女いないし誰か紹介してくれないかなー。所長代理も、モテそうすよね」
「俺は、別に……彼女いるし」
「マジすか! 羨ましいー! 彼女さんの友達紹介してくださいよ」
井上くんは、すっかり友達のノリだ。こういう会話久々だな。
智たちにも会ってないし、たまにはいいもんだ。
「紹介できる女なんていねーよ。この会社、女子社員多いし頑張ってみろよ」
「えーっ、だってうちの会社の女子。性格キツくないっすか? そうだ! 所長代理が良さそう女子誘って合コン開いてくださいよ! 俺が誘うより所長代理が誘ったほうが女子も集まりますし!」
「ええっ?」
「男子は任せてください!
嬉しいなー、なんて頼りになる所長代理なんだ!
俺幸せです! よろしくお願いします! 真部所長代理! じゃ、持ち場戻りますね!」
ええええっ?
なんだ、この展開。
井上くん、超一方通行。さすがトリックスターズの一員だ。