Tricksters2ッ
ドレスでいいよな?
────「で? そこ退いてくれませんか?」
「やあ、淳一くん。奇遇だね。こんな所で何やってるんだい?」
李花の自宅の目の前に、超レア(藍莉が言うには)なベンツが、どーんと停車している。
ゼンが馴れ馴れしく俺の肩に手を置いた。
「とにかく退けよ! 邪魔」
「そんな冷たいこと言うなよ。俺と淳ちゃんの付き合いだろ。黙って車に乗れ」
「待っ! オマエ後半脅迫だぞ!」
開いた助手席に、後ろから周りこんできたゼンに背中を足蹴りさせて押し込まれた。バタンとしまったドア。開こうとするけど、ロックがかかって開かない。
「また誘拐かよ! 誘拐は間に合ってますから!」
なんで、俺が何回も誘拐されなきゃなんねーんだよ!
一般人は嫌がる相手を無理矢理車に乗せたりしないんだよ!
それに李花が怒ってるんだよ!
井上のせいで合コンなんかやったから、誤解とかなきゃならないんだよ!
腹いせにドアをガンガン蹴ったが、ビクともしなかった。
「シートベルトお締め下さい。発進しまーす。ご注意くださーい」