Tricksters2ッ
ドレスでいいよな?


────「で? そこ退いてくれませんか?」



「やあ、淳一くん。奇遇だね。こんな所で何やってるんだい?」



 李花の自宅の目の前に、超レア(藍莉が言うには)なベンツが、どーんと停車している。

 ゼンが馴れ馴れしく俺の肩に手を置いた。
 

「とにかく退けよ! 邪魔」


「そんな冷たいこと言うなよ。俺と淳ちゃんの付き合いだろ。黙って車に乗れ」


「待っ! オマエ後半脅迫だぞ!」


 開いた助手席に、後ろから周りこんできたゼンに背中を足蹴りさせて押し込まれた。バタンとしまったドア。開こうとするけど、ロックがかかって開かない。


「また誘拐かよ! 誘拐は間に合ってますから!」


 なんで、俺が何回も誘拐されなきゃなんねーんだよ!

 一般人は嫌がる相手を無理矢理車に乗せたりしないんだよ!

 それに李花が怒ってるんだよ!

 井上のせいで合コンなんかやったから、誤解とかなきゃならないんだよ!


 腹いせにドアをガンガン蹴ったが、ビクともしなかった。


「シートベルトお締め下さい。発進しまーす。ご注意くださーい」





< 95 / 359 >

この作品をシェア

pagetop