冷蔵庫の穴

15

驚く事なかれ、
あたしの地球儀だった。


え〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ。


薄い何かを摘むように引き上げたのに、

出てきた物は地球儀。


なんでぇ〜〜〜〜〜〜〜。



昨夜から酷使している
あたしの指の感覚が
麻痺しているのだろうか。

いやいやここは冷静にと
自分に言聞かせつつ。

今度は右手で
勿論立体的に
地球儀を掴んで、『虚』に挿入。

すると地球儀が扉に消えると同時に、
あたしは

紙切れ

を摘んでいる感覚に変わった。

ありえない、

でも現実だ。

要するに『虚』の先は平面なんだ。

2次元ワールド

なのである。

不思議の国アリスの

トランプ兵隊である。


我に帰ったあたしは、
『虚』の向こう側の



の存在を悟った。

地球儀の高さ
約30センチを計算に入れると、

向こう側の床は
家の床から約40センチ上に存在する。

行ってみるか?

いや、そんな大胆な。

葛藤した挙句、
まずはこの目で見てみることにした。

その為には
まず足元を安定させなくては。

あたしは踏み台をかたずけ、
リビングテーブルを移動した。

そして、向こう側で
息が出来ないと困るので、
洗濯機に付いている

ゴムホース、

何かあった時用に

バイクのヘルメット



スノーボードのゴーグル

を用意した。

そして全てを装着したあたしは、
奇怪な格好で
『虚』の向こう側探検に挑んだ。
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