片想
そしてさっきから和水チーフと宮垣くんが楽しそうに話をしている。
アタシはそこに、
その場所にいるはずなのに。
いないみたい。
まるで幽体離脱したような。
…喉がカラカラに渇いて小さく咳払い。
「和水チーフって夫婦仲いいですよね?」
宮垣くんがそう聞いてちらっとアタシのほうを見る。
このひと…。
アタシは彼から目を逸らす。
そして
ふっと笑って和水チーフのほうへ向きなおして再び言った。
「前に遊びに行かせてもらったことあったじゃないですか?
なんかふたり息がぴったりって感じで」
「あはは、そうかな?」
照れくさそうに笑う和水チーフ。