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┗梅雨入り前初夏

「あづい・・・」

時計に目をやるが、時刻はまだ

[7:49]


自転車をこぐ足に力が入らない。

「朝から暑いぞー浩二!!」

叫び声だけはしっかり出るのだが。

「朝から暑いね」

後ろから、いつもと変わらぬ調子で声が返ってくる。

前を走る和義はブレーキに手をかけ、浩二と並ぶ。

「お前・・・そんなこと言いながら汗かいてねーじゃねぇか」

実は梅雨明けは愚か、入りさえをしておらず、衣替えが実施される時期ではないため


未だに学ランで学校生活を送らなくてはならないのである。

だが、そのクソ暑い ―厚いと書き換えても良いが― 服を着ているのに汗1つかかな
いとは何事か

「そんなこと無いよ、背中は結構濡れてるんだよ?」

「『だよ?』ってなぁ・・・」

どーにも言葉が続かない。


「今日、『おいしい苺ミルク(増量)』お前のおごりな」

「えー!!あれ他の飲み物より50円高いんだよ!?」

「理不尽だろ?」

「理不尽だよ!!」

学校の陰が見えてきた。

「理不尽・・・だよね?」

「理不尽、だよな」


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