綺麗な百合にも棘がある
801号室の前に来て、インターホンを押すと、ドアが開いた。

「いらっしゃいませ」

迎えてくれたのは、ゴシックロリータとでもいうおうか、黒のフリルの多いワンピースを着た、金髪を縦に巻いている女の人だった。

彼女が那津木沙良だろうか?

「先生は?」

「古賀の方のラストスパート書いてるわ」

彼女自身が先生という言葉を使ったということで、彼女が作家ではないということが分かった。

そして、何故、古賀を呼び捨てにしたかという疑問が湧いた。

「オレの?締め切りはまだ先のはずだが」

「担当が変わってもちゃんと出来るということを見せたいんだって。健気な先生よね。あ、この子が新しい担当さんね」

彼女の目が自分に向いて、慌てて頭を下げた。

「初めまして、如月春緋です」

「如月?ふーん」

上から下まで舐めるように見られて居心地の悪さを感じる。
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