綺麗な百合にも棘がある
古賀がニヤリと口の端を上げた。

「男と女ねぇ」

意味深な古賀の表情と言葉を見ていると、野宮が戻ってきた。

「はいどうぞ」

古賀の前にはコーヒー、春緋の前には香りの良い紅茶が置かれた。

「ありがとうございます」

「何の話ししてたの?」

「お前とオレは男と女の幼なじみだそうだ」

「あら。女の子に見えた?嬉しい」

野宮亮はニッコリと微笑んだ。どこから見ても可愛らしい女性だ。

「オレの女装も極まって来たってことだな」

コーラルピンクのグロスが塗られた艶やかな唇から突然、男の声が発せられた。

驚いて言葉がでない春緋を二人は大笑いし始めた。

「こいつ女装が趣味の流行りの男の娘ってやつ。なぁ、亮(あきら)」

「この姿の時は亮(りょう)ちゃんって呼べって言ってだろうが」

姿は変わらないのに声が変わっただけで、目の前の野宮が異質に見えた。
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