綺麗な百合にも棘がある

｢こんななりだが、アシスタントとしては一流だ。那津木先生が信頼している唯一のアシスタントだ｣

｢そうなんですか｣

｢そんなことないわ。先生は大概のことは出来るから、殆ど何もしていないわ｣

｢亮ちゃんがいなかったらこんなに早く原稿をあげられないよ。私は亮ちゃんがいてくれないとダメなの｣

リビングに先程聞いた声、那津木先生が入ってきた。

茶色い髪をクルクル綺麗に巻いて、グレイのワンピースを来た女性。那津木沙良その人だ。

春緋は立ち上げ一礼をした。

｢初めまして、如月春緋といいます。本日から那津木先生を担当させていただきます。よろしくお願いします｣

｢はい、よろしく。春緋｣

いきなり呼び捨てにされて、驚いて顔を上げると


｢なっちゃん…。なっちゃん！｣