フルスロットルラブ

秋津誠君は、とても優しくて男らしくて、無骨だけどさりげない気遣いが出来る人で、


そして何よりとても一途だった。


そう…


彼にはずっとずっと一途に好意を寄せる女の子がいたのだ。


私が秋津君に片思いをしていたように、彼もずっと彼女に片思いをしていた。


彼女の事を熱く見つめる彼の眼差しが私は大好きだった。


彼女をさりげなく守る彼の腕は、とても逞しくて力強くて、


彼に見つめられると瞳がキラキラと輝く彼女が、いつも羨ましかった。


私もあんな風に想われてみたい…

できる事ならば彼に。


いつの間にかそんな風に思うようになっていた。


だけどそれはもう永遠に叶わない。


秋津君と彼女は先日晴れて両思いになったのだ。


私と同じ分だけ5年間彼女に片思いをしていた彼は、司法試験に合格した事を機に彼女に告白したのだ。

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