I wanna be your only lover
「キャンプファイヤーやるからみんな集合~!!」
誰かが大きな声で呼ぶ。
みんなぞろぞろとキャンプファイヤーの木が組み立てられた所へと向かう。
「いいか―、点火までカウントダウン開始!!」
「5、4、3、2、1」
「点火―!!」
キャーと誰かが興奮した声をあげて、
キャンプファイヤーに火が灯る。
ぱちぱち、ゆらゆらと揺れる炎が、
とてもきれいだ。
炎をきれいなんて思うのは初めてだ、なんて思う。
みんなの輪から少し離れた所であたしは炎を見つめていた。
花火を始める人たちや、フォークダンスを踊り始める人たちもいる。
…シオリさんは、結局来れなくなったらしい。
少しほっとしている自分が惨めだった。
でも良かった。
タクさんが愛おしそうに見つめるであろうその人に、
会わずにすんで良かった。
タクさんのそんな表情、
見たらあたしはきっと普通でいられない。
炎がぼんやりとにじんで、はっきり見えない。
でもこれはこれできれいだな、なんて妙に冷静な自分がいた。