透明水彩

「……おいナギ。お前、自分の立場わかってんの？」

「わかってる、よ。」

「わかってるやつは、そんなこと言わねぇよ。」


確かに湊が言っていることは正しい。
間違っているのはあたしだと、そんなこともわかってはいるつもりだ。


「叔父さんはあたしを、両親の代わりに育ててくれようとしていた、大切な人なの。」


両親が死んだあの日から、あたしを引き取ってくれたのは叔父さん夫妻。
あたしはそのまま、叔父さんの好意に甘えて、未来に来るまでの時間を過ごしてきた。

だからこそ、みんなより叔父さんへの気持ちはきっと大きくて、ただ心配で不安になる。


「だからこそ今、あたしは叔父さんの様子を見に行きたい。
……あたしには何もできないかもしれないし、余計迷惑かけちゃうかもしれないけど……」


そう言って理人やケイの方に視線を向ければ、２人は顔を見合わせ、呆れたようにため息をついた。