透明水彩

莱とあたしが襲撃されてから1週間が経った。
その間、相変わらず敵側も動きは見せず、依然として硬直状態が続いていた。

あの日から1度も、芽梨ちゃんとは話してはいない。
あたしを拒絶する雰囲気が凄まじくて、莱がいる医務室にも近づけはしなかった。

怪我を負っていた叔父さんは、第二アジトからこちらに無事帰還し、あたしが仕出かした失態をケイから聞いたらしい。

執務室に呼び出され、長々とした2時間の説教をいただいた。


「美凪ちゃんの気持ちは、有り難い。けど美凪ちゃんは、ちゃんと自覚しなければいけないんだ。」


でも、わかっていたんだそんなこと。
だからこそ少しは躊躇った訳だし、自覚がなかった点については反省もした。

それでも、やっぱり理屈じゃない。
未だにそんなことを思う自分を自嘲した。
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