透明水彩

自室のベッドに寝転がり、無機質な白の天井を見上げる。
そしてゆっくりと目を閉じた刹那、響き渡る警報に眠りに落ちかけていた意識は覚醒した。

耳をつんざくほどの、警報音が絶え間無く鼓膜を刺激する。
何事かと急いで部屋を出れば、慌てた様子の藍香とちょうど出くわし、有無を言わさずに大広間へと連れて来られた。

未だ鳴り響く、警報。
大広間にはすでにアジト内にいる全ての人物が集合しており、いつに無く真剣な表情を浮かべたケイが、重々しく口を開く。


「…やべぇことになった。まさかこのタイミングで、襲撃されるとは……」


襲撃……?


「各自、第二アジトへの行き方は把握してるな?」


ケイの言葉に、各々が頷く。
それを視認したケイは、大きく頷いて言葉を続けた。


「……よし。なら、これからの行動は少人数に分け、第二アジトで落ち合うことにするぞ。」


重々しい空気と張り詰めた緊迫感が混合し、ピリピリとした緊張感が肌をなぞる。

1週間前の襲撃が頭をよぎって、両拳を強く握りしめた。
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