透明水彩

残酷な推測に言葉を詰まらせたあたしを見て、莱は悲しそうに笑う。そして、続けた。


「そーです。美凪サンの時代で抗争がストップした時点で、俺と美凪サンの接点は無くなるはずなんですー。」

「っ!じゃあ……、」

「明後日。美凪サンが過去に戻ったら。俺の中から美凪サンの記憶は、消えちゃうかもしれません。過去の俺がどうのじゃなくて、今の俺が美凪サンを忘れてしまうことが、俺は怖い。」


過去は変えられなくても、未来は変えられる。
たとえそれが、悪い方にだとしても。


「…――あの、美凪サン?」

「え……?」

「会えなくて苦しむのと、大切な人を忘れて生きるの、どっちがツライと思いますか?」


その問いを、あたしが答えることはできなかった。
ただ、莱の中からあたしの存在が消えてしまう可能性が、怖くて、哀しくて。

あたしだけが覚えてる。
そんな思い出ならきっと、幻であるのと大差ない。
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