透明水彩

ビクリ、と繋がれた莱の手が震える。


「美凪、サン……?」

「莱が幸せなら、あたしはそれでいいよ。叶わない恋に、莱が嘆かなくて済むように。忘れてしまった方が、よっぽどラクだと思う。」


あたしが紡いだのは、ついさっき答えることができなかった莱の問いの答えだった。

全てが変わる、この時代で生きていくのなら、莱の中にあたしはいない方がいい。


「美凪サンを忘れて、幸せになんて…っ、」

「なれるよ、莱なら。それに、たとえ莱からあたしの存在が消えても、あたしはずっと、莱を忘れない。」


これがあたしのエゴのような、言い分だってことはわかってるけれど。
起き上がった莱に合わせるようにあたしも上半身を起こし、莱と視線を合わせ、続けた。


「あたしがずっと、覚えてるから。」


だから、あたしと莱がたとえ短い間でも一緒に過ごした事実は、確かに存在するんだよ。
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