透明水彩
「それにね、莱……」
悔しそうに唇を噛み締める莱に、あたしは続ける。
「あたし、この時代で莱と出会えたこと、後悔なんてしてないよ。むしろ、会えて良かったって思ってる。」
「美凪サン……」
「きっとね、あたしと莱がこの時代で会うことは、必然だったんだよ。多分。
だからこそ、こういう別れがくることも、出会いと同じように、必然なんだと思う。」
出会いが必然ならば、別れも必然。
そういう状況下で、あたし達は出会ったのだから。
「だから、ね…っ、莱ももう、そんな顔っ、しない、で?」
でも散々大きなことを言っていたくせに、あたしの気持ちはちゃんとついてきてはいなかったみたい。
堰を切ったように溢れ出した涙を止める術なんか無くて、何度も何度も、手の甲で拭う。
それでも拭い切れる訳無く零れ落ちる涙を、莱のあたたかな手が掬った。