透明水彩
「……美凪サンには、敵わないですねー。」
そして抱き寄せられる、身体。
夜特有の冷たい空気にさらされていた身体は、伝わってくるぬくもりであたたかくなっていく。
「……本当はずっと、傍に居たいんです。」
「うん。」
「……本当はずっと、守っていきたいんです。」
「うん。」
「大好き、なんです。」
「ありがとう。」
莱の気持ちは、痛いほどあたしに伝わってるよ。
あたしだって本当は、莱と同じ気持ちだから。
未だ、零れ落ちる涙は止まらない。
何十分、何時間、そのまま莱と一緒に居たかはわからないけれど、名残惜しむように、明後日の別れを拒むように。
けれどやっぱり、時間は容赦無く過ぎ去って、今生の別れはやってくる。
だから今は、2人だけの時間を過ごさせて。
けれどその半面、伝わってくるぬくもりとあたしへの言葉が、何よりも切なかった。