透明水彩


「……美凪サンには、敵わないですねー。」


そして抱き寄せられる、身体。
夜特有の冷たい空気にさらされていた身体は、伝わってくるぬくもりであたたかくなっていく。


「……本当はずっと、傍に居たいんです。」

「うん。」

「……本当はずっと、守っていきたいんです。」

「うん。」

「大好き、なんです。」

「ありがとう。」


莱の気持ちは、痛いほどあたしに伝わってるよ。
あたしだって本当は、莱と同じ気持ちだから。

未だ、零れ落ちる涙は止まらない。
何十分、何時間、そのまま莱と一緒に居たかはわからないけれど、名残惜しむように、明後日の別れを拒むように。

けれどやっぱり、時間は容赦無く過ぎ去って、今生の別れはやってくる。

だから今は、2人だけの時間を過ごさせて。
けれどその半面、伝わってくるぬくもりとあたしへの言葉が、何よりも切なかった。
< 269 / 279 >

この作品をシェア

pagetop