灰色の瞳~例えば異常者だとしたら~
引き継ぎも終わり、
一段落した俺は別荘へと移り住んだ。
一人暮らしにはかなりの広さだけど、
全てから解放された俺には
ちょうどいい心地よさだった。
季節も何度目かの春を繰り返してる。
窓を開けると、フワリと舞い込んだ
風が髪をすり抜ける。
同時に散っていく桜の花びら。
青い空を見上げて、その先に繋がる
君への空を想った。
まだこの想いは君に向けていいのかな。
どうか、この空の下
君も生きていてほしい─────。
泣いてないか……?
笑ってなくてもいい。
ただ、息をしててほしい。
覚えてなくていいんだ。
もう一度、僕たちは出逢おう。
迎えに行くから。
きっとお互いに環境は変わってる。
死んだ目をした君しか知らないけど、
声だって聴いたことがないけど、
僕は君を見つけてみせる。
必ず感じる。
君を見つけた時に感じた
内に秘めた青白い光。
そして繰り返すんだ。
僕たちの輪廻……。
君は今……何を見てる……?