灰色の瞳~例えば異常者だとしたら~



ただ、共鳴してという言葉に
あたしは反応してしまった。
感情ではなく、躰が動いたの。



欲しいと思った。
郷田の全てが。



自分の全てを見られても、
突き抜かれたい欲望が全身を
駆け巡る。
頂点にまで熱を帯びた躰を
郷田は優しく包み込んでくれた。



あたしたち
ひとつになれたの……



こんな汚れた躰を
郷田は愛してくれたよ……



温かかった。
抱きしめてくれる腕も、
揺れる睫毛も、
あたしを惑わす唇も
全部が心地良い。



手のひらの傷にそっと口付けた。



『痛い…?』



優しく微笑む郷田は首を振る。



あたしのために
自らを痛めつけた傷跡。
「簡単に逝かせはしない」と言った
郷田の想い。
あたしは返せてる…?



伝え方なんて知らないから
いつも困らせてばかりなんだろうけど
少しでもその想いに
答えられてるだろうか。











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