- π PI -【BL】


『カレシに向かって死ねはないだろ?相変わらずひでぇな』


電話の向こうで周が苦笑する声が聞こえる。





「お前は俺のカレシなのか―――?比奈のことを探りたいために俺に近づいたんじゃないのかよ?しかもホストクラブの経営だとか嘘までつきやがって。


他にいい訳があるなら聞くけど?


何で俺に近づいた?」





周はちょっと低く笑い声を漏らすと、





『顔!人間は美しいものに惹かれる生き物だ


つまり俺はヒロの顔に一目ぼれした』





と、ズバリ言い切った。




はぁ。さいですか。




『ホストクラブの経営だが、俺は嘘をついたわけじゃないぞ?誰が俺様の職業だと言った?ホストクラブ経営は従兄弟だ』


こ―――…の減らず口が!!


しかも、顔って………一目ぼれって…


俺がバカだった。少しでも、あのクールでいかにもデキそうなキャリア刑事がアイツの本当の姿かも…って思ったけど、




素!こいつはこっちが素だ!!


間違いない!





つまりこいつは俺の思った通り―――正真正銘の変態で、意味不明野郎だったわけだ。







< 72 / 93 >

この作品をシェア

pagetop