- π PI -【BL】
『お前が望んでいたマイホームに仲良し家族四人だ。
俺はこんなものしかお前にやれないけど―――
だけどどんなことでもいい。お前が喜ぶことをしたかったんだ』
昨日―――周の寝室から聞こえてきた不可解な音は―――……このミニチュアを作ってる音だったんだ。
ヒツジも、狼も―――おまけにちっちゃいのもいる。
マイホームも、可愛い奥さんも子供も…確かに俺が描いた夢だったけど、
だけど周が居なきゃ意味がない。
意味が―――ないんだ……
ポタッ……
ふいに屋根の上に水滴が落ちて、俺は自分が泣いていることを悟った。
堪えていた涙が、溢れ出す。
感情が溢れ出す―――……
好きだ。
止めようと思っても、もう俺自身どうすることもできなかった。
どうしようもなく―――好き………
「………よ…」
『え?』
「行くなよ周!俺の傍に居ろよ!!
俺の幸せはお前と居ることだ。俺が笑顔で居るにはお前が隣にいないとダメなんだ!
お前が好きなんだよ―――」
ようやく言えた言葉は、涙の混じった叫び声で、あいつに伝わったかどうか分からない。
だけど
これが本当の俺の気持ちだ。