- π PI -【BL】


『ホントに?♪』


にやり―――って笑った…気がする。いや、実際電話だったからこいつが本当に笑ってるかどうかなんて分からないけど、


嫌ぁな予感がしてそろりと振り返ると、


バタンっ!


突如玄関の扉が開いた。


そして相変わらず嫌味なほど決まったスーツ姿で周が姿を現した。


な、何故居る――――!!?


あまりの驚きに涙も引っ込んだ。


「いやぁ、出発までにそれを聞けて良かったよ~♪お前が嫌がったら、睡眠薬で寝かせて無理やり連れて行こうかと思ったけど♪」


睡眠薬!無理やり!?


はぁーーー!!?


「…いや、俺好きだと言ったけどアメリカに移住なんて無理…。会社あるし…。それにお前“さよなら”とか“達者でな”とか言わなかったっけ?」


なんて、こんなときまで常識人の俺は素直に答えてしまった。


すると周は心外そうに腕を組み、


「誰が移住と言った。アメリカで結婚式挙げるんだよ。さよならは独身生活にさよならってことだ」


What!?


「アメリカで結婚式?誰と誰が??」


俺が聞くと、周はどこからか取り出したヒツジのぬいぐるみを俺の前に出し―――


って言うかこのヒツジ一体、何体あるんだよ!ってそんなことどーでもいい!


何でウェディングドレス着て、ベールも被ってるんだよ!


嫌ぁな予感がしたけど、


「俺様とお前の結婚式に決まってるだろ?こっちでは認められてないからな♪」


なんてこいつは俺の期待を悪い意味で裏切ってはくれなかった。





はぁーーー!!!






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