『初恋』
-夢-
――此処は…夢?
『唯…?ゆーいっ』
優しい懐かしい声が耳に響く…。
『おかあしゃん!』
3歳の私。言葉はまだ少しはっきりしない。
『アハハッゆ~い。久しぶりぃ~』
入院していたお母さんは1っか月ぶりに
帰って来た。お父さんも嬉しそうにしている。
『おかあしゃん元気になったのぉ?』
『うん!お母さん元気ぃ~!』
『やったぁー』
『今度お出かけしようね!』
『うん!』
約束したんだ。
今度一緒にお出かけしようって…。
なのに…
【ピピピピッピピピピッ】
っと嫌な音が鳴る。
お母さんは急に倒れて病院に搬送された。
お母さんは私と講演に居る時に倒れた。
無理をしたのだ。私が気付かなかったから。
『ぐ…ぅぁっ』
苦しそうにうめくお母さん。
その傍らでお父さんは泣いていた。
『おかあしゃん?どうしたの…?』
私は幼すぎてわからなかった…。
お母さんが苦しみ死んでいくことを。
お母さんはその数時間後苦しみなくなった。
『愛華ぁ…愛華ぁ…!』
お母さんの名前を呼び泣き叫ぶお父さん。
私はようやく気付いた。
『…おかあしゃんは…死んじゃったの?』
まだ疑問形だったが時期にわかった。
お父さんはしばらく仕事を休み布団の中。
私はそれでも理解できず外で遊ぶ子供。
それも一年がたったころ…。
『唯…お父さん。そろそろ立ち上がって行こうと思う』
お父さんは何かを決心したように私に言った。
『おとうしゃん?』
4歳になる前日の話だ。
『だから…お前も…強くなって欲しい』
この日からお父さんは前向きになった。
でも…このころから私はひねくれた性格になった。
誰に話すいかけられても笑わない無愛想な子。
世間はそう私を見た。そんな私を見て父が言った。
そんな月日が2年。
『父さんの友達の子供がな?お前とおんなじ歳なんだ』
『え?』
『会いに行ってみようぜ!』
お父さんは無邪気に笑った。
私は笑えないのに。
数日後あの子に合った。
『僕は佐久。君は?』
『…私は…唯』
素っ気ない返事でも彼は話し続けた。
そして約束した。
『いつか会った時はまた…』――――。