新人女性騎手の憂鬱。因縁にカタをつける強い意志は風になって走ること。運命をかけたゴールはすぐそこだ!
いよいよ本番。

ストラップスターは今、パドックにいる。

パドックとはレース出走前の馬達の状態を、客席に見せる為の場所だ。
そして、ここはまた競走馬を落ち着かせる為の場所でもある。

厩務員に引かれ、パドックを周回するアイツはやけに落ち着いて見える。
まぁ、アイツにとってここは、何度も回った慣れた場所だものね。


厩務員の手が離れ、いよいよストラップスターに跨る私。


ストラップスターの体には11番の数字。

私達は8枠で、カラーはピンク。
桜を連想させる「小春」の名前にピッタリだ(自画自賛♪)。
そんな事を考えつつ、ピンクのヘルメットに手をやってみたり…。



後はスターティングゲートへと向かうだけだ。


ライバル馬に跨る騎手は、競馬学校でも優秀だった人材ばかり。
エリートなヤツもいる。
いや、むしろエリートだらけか。

おのずと震えてくるのが分かる。


でも、負けられない。


ここで勝たないと、勾玉は一生戻らない…と思う。
それどころか、二度とコイツと会えなくなるんだ。

デビュー戦が大バクチだなんて、なんて情けない話だろう。


でも、負けられない。


どんな運命の巡り合わせだか分かんないけどねっ!!

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