ごく普通の女子高生が、暴走族のお気に入りになって恋しちゃった話
「あの、啓吾君?」

「ちょっと黙って・・・。あのさ、お父さんとお母さんのお葬式のこと覚えてる?」

黙ってって言われてたから、私は黙ってうなずいた。

「海乃莉さ、泣かなかったでしょ?それ見て俺さ、こいつ、すげぇな。って思った。俺だったら、母さん死んだら、ぜってー泣くな・・・って」

「・・・・」

「きっと、多分、一目惚れだった」

「・・・・え?誰に?」

ま、まさか、私のお母さんの遺影の写真に。とか言うんじゃないよね?!

「これだからなぁ・・・・君にだよ。大沼 海乃莉に」

ま、まさかの告白?!

だってこの人、一応私の親を事故に至らしめた人の、子供だよ?!いきなりそんなこと言われたって・・・・

「んな、んなこといきなり言われたって・・・・」

「ダメ?」

「え?!」

なんか、いきなり可愛いキャラに・・・。

「だって、私、彼氏もどきいるんだよ?そんなことできないじゃないの」

「いいよ。純なんかほおっておけばさ」

えぇ・・・そんなんでいいのかな?

「でも・・・」

「そっか。わかったよ」

よかったぁ・・・わかってくれた。

「でもやっぱ無理だわ」

「はぃぃ?!」

「俺、絶対海乃莉に振り向いてもらうから。見てろよ」

「あ、ああああの、啓吾君、冗談でしょ?ね、冗談だよねぇ?」

「本気なんだし」

な、なんだしって・・・。

どうか、神様。今日あったすべてのできごとが幻だと言ってぇーーーーー!!!


< 8 / 21 >

この作品をシェア

pagetop