ガリ勉くんに愛の手を
店を出てすぐに電話をかけた。

♪ターンタ-タターン♪
(着信音)

いつものように六甲おろしが鳴り響く。

(あ、ベンからや。)

ちょっととまどいながら電話に出る佐奈。

「もしもし。」

「あ、佐奈さん、勉です。
なんとか無事に解決しました。

佐奈さんのおかげです。」

「…別に。」

キツい口調。

でも……

顔は見えないが、優しく微笑んでくれているに違いない。

「じゃ、また明日。」

「うん。」

ガチャッ!ツーツーツー

短い会話…

(なんで、こんなドキドキしてるんやろ?)

いつの間にか、僕の声が佐奈の心に静かに響き始めていた。
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