ガリ勉くんに愛の手を
真理亜はボロボロ涙を流しながら何度も頭を下げている。

「…勉君、本当に…ありがとう。」

今の姿は彼女の本心だろう。

真理亜が僕に体を委ねようと近づいてくる。

「私の為に……」

僕はそれを拒むように立ちあがった。

「真理亜さん。僕は君を助けんじゃないんだ。」

真理亜は驚いた。

「君のした事だと知りながら、佐奈さんはこの証拠を出す事を承諾してくれた。

本当に辛かったと思う…」

(佐奈さんの…為?)

真理亜のかすかな期待もむなしく散った。

「ごめんなさい…本当にごめん…なさい。」

顔をテーブルにうずめながら何度も何度も謝る真理亜。

「君も今回の事でずいぶん傷ついたと思う。
でも、全部君がまいた種だ。

これからは心を入れ替えて今まで犯した罪を償ってほしい。」

真理亜は下を向いたままゆっくりとうなずいた。

「…私が、心を入れ替えたら…
勉君、もう一度私にチャンスをくれる?」



「さようなら…」

僕の返事はそれだけだった。
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