ガリ勉くんに愛の手を
その後、自宅に連絡が行き、母が真っ青な顔で慌てて駆け付けた。


母は被害者のみゆきに何度も頭を下げていた。


「本当に申し訳ございません。」


「いえ、私も悪いんです。
あんなに密着していたら誰だって触りたくなると思うし……」

みゆきはしおらしい態度で被害者を演じている。


「お願いです。
警察にだけは通報しないで下さい!
なんとか示談で…」


(そら来た。)

ここからはみゆきの思う壺だ。


少し悩んでいる素振で、

「まあ私も同じ学生ですし、真面目そうな方なので二度とこんな事はないと思いますし…」

やけに返事をじらす。

「わかりました。
今回は私が我慢する事に。」


初めからそのつもりだったんだ。


「本当にありがとうございます。
お詫びはちゃんとさせていただきます。」


母は涙を流しながら感謝した。

そしてバッグの中から白い封筒に入ったお金をみゆきに手渡した。

みゆきは中を見ず、その厚みだけで金額を想像し、そのままカバンに収めた。


用が済んだみゆきとユリ、別々に去って行く。
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