ガリ勉くんに愛の手を
「佐奈さん。」

「ん?」

今なら素直に言えるはず。



「好きです。」


(……今、なんて?)

「僕、佐奈さんの事が…」


ガラガラ…

「いらっしゃ~い!」

(出たっ!
無神経オヤジ!)

「よぉ~!ベン来てたんか?
佐奈、片づけ終わった?」

肝心な時に!

(おっちゃんのっ

アホ―――ッ!!)


「どないしたん?」

おじさん、今の状況を全くわかっていない。

(もしかして、お取り込中?
俺って、お邪魔虫…?)

結局、僕の告白は中途半端に終わってしまった。

この想い、少しは佐奈に届いただろうか…?

でも、いいんだ。

何はともあれ、自分の気持ちに素直になれた。

今日一日、色んな事があった。

辛い事…
苦しい事…
悲しい事…

でも、何より、
嬉しい事…

僕にとって、今日は特別な日なんだ。

一生、忘れる事の出来ない…

告白記念日だ。
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