ガリ勉くんに愛の手を
「開けてもいい?」

「ど、どうぞ。」

佐奈は椅子に腰を下ろし、ゆっくりと包装をはがしていった。

バクン… バクン…


僕の想像では…

―開けた瞬間。

「キャーッ!かわいい。
うち、こういうの欲しかってん。
ベン、ありがとう。

うち、ベンと付き合ってもいいよ!」

…と、言う計算だった。



ところが、現実は…

「何、これ?イモ虫?
ヒェ~、気持ち悪い!
うち、昆虫類大っきらいやねん!
こんなん、いらんわ。
趣味悪!!」

「あ、あの…
佐奈さん、変なモノが好きだと思ってこれを選んだんですけど…」

「変なモノ?
また、おっちゃんにいらん事教えられたんやな!

うちは、変態か?!」

「あ、あの~
これ、ただの虫じゃないんです。
[実くん]って言うんですけど、なんとなく佐奈さんに似ていて…」

「うちに?!
どういう事?
うちがこの目つき悪い、ブサイクって言いたいの?!」

「いえ、そうじゃなくて…」

「もうええわ。
うち、帰る!」

怒らせてしまった。

僕は、佐奈さんみたいにかわいいって言おうとしたのに…

この作戦はあっけなく失敗に終わった。
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