ガリ勉くんに愛の手を
もしかして、ここに僕の探し求めていた本が…

早速、その群れに交じって生まれて初めての立ち読みを体験する事にした。

(雑誌?)

表紙は可愛い女の子が水着姿でポーズを決めている。

それを見ただけで顔が赤くなった。

(中身は…?)

パラパラとページを捲っていく。

面白そうな漫画。

最初は真剣な顔で読んでいたが、段々おかしくなってきて…

フフッ、フハハッ
ププップップップ
プッハッハッハァ…

思わず爆笑してしまった。

同じ立ち読み連中が新入りの僕を睨んでいる。

僕は小さく頭を下げてまた大人しく読む事にした。

確かにタダ読みさせてもらっているのだから店員に見つかっては困る。

それがここでのルールらしい。


漫画ってこんなに面白いものだとは知らなかった。

僕は今まで損をしていたのか?

みんなが知っている事を知らない。

でも、こんなものにハマってしまったら多分勉強にも身が入らないだろう。

途中まで読んで行くと、カラーの写真が折りたたんである。

気になってそれを広げて見た。

「うわぁーっ!」

周りはさらに驚き、店員までが僕を睨んだ。

(し、刺激的すぎる…)

僕は、あまりにも大胆なヌード写真に興奮して声をあげてしまった。

その拍子に写真が二つにやぶけているではないか…

結局、その本を弁償する事になった。

(どうしよう…
こんな本、家に持って帰れないよ。)

もし、このエッチな本が母に見つかったら…

多分ショックで倒れてしまうに違いない。

(しかし、こんな写真、よく撮らせてもらえたよな。

みんな恥ずかしくないのかな~)

世の中の常識がいまいち理解できない。

結局、捨てる事もできずさっきの雑誌をカバンの中に隠し、家へと持って帰る事にした。
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