ガリ勉くんに愛の手を
(なんで今頃になって…?)

佐奈は今、必死で自分を見失わないように頑張っている。

昔から健二は、強引でいつも自分のペースに引き込む。

それは今も変わっていない。

佐奈はその雰囲気にのまれそうで思わず会話を変えた。

「東京行って、有名人なれたし本当によかったな。」

「まあな。でも人気出たらまたそれも大変や。」

(そんなもん?)

健二は急に真顔になった。

「俺なこの2年間東京行ってホンマに苦労したんや。

一人で辛かったし、寂しかった。
何回も大阪帰って来ようと思ったし…

でもな、お前と約束したやろ?

絶対東京で成功してみせるって。

その為に俺ら別れたんやし……」

(健二…)

「でも、やっぱり佐奈おらなあかんわ。
離れてみてよーわかった。
俺には佐奈が必要やって。」

(何?!何言うてるの…?!)

その言葉を聞いて佐奈の心は波のように揺れ動いた。

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