ガリ勉くんに愛の手を
―【たこ萬】では…

「お、お、おっちゃん!
今の人は誰なんですか?

あの人と佐奈さんは一体どういう関係なんですか?」

僕は機関銃のようにおじさんに食らいついていった。

「ちょ、ちょっと待て。
ゆっくり話しよう。」

「二人はどこへ行ったんですか?
何のために…?!」

「だから、俺に説明する時間をくれ。」

僕は気が気でなかった。

こうやっている間にも二人との距離がどんどん離れていく。

そして、おじさんから衝撃の事実を耳にした。

「も、元カレ…?」

「そうや、健二は佐奈の元カレや。」

「おっちゃん、それって

まさか…



[元は彼氏]って言う事ですか?」

(そのまんまやないか!)

あきれた顔のおじさん。

僕はあまりのショックにその場にあった椅子に倒れ込んだ。

(だめだ、立ち直れない。)

もうこれ以上働くのは無理だ。

「おっちゃん、体調が悪いので早引きさせてもらいます。」

そう言い残し、肩を落としたまま店を出て行った。

「お、おい、ベン!」

(あ~、かなり落ち込んでるな。)

おじさんもこの状況ではどうする事もできない。

今、あの二人に何も起こらない事をただ祈るだけだった。
< 199 / 401 >

この作品をシェア

pagetop