ガリ勉くんに愛の手を
―――もう、ずいぶん前に心に鍵をかけていたのに…

なのに、なんで今頃?

なんで合鍵を持ってるの?

健二には開けて欲しくなかった。

だって、うちの初恋の人やから……

嫌いになりたくてもなれなかった。

忘れようとしても…

健二がスクリーンからうちを見つめるたびに蘇ってくるこの想い。

どうすればいい?

やっとの思いで忘れられたと思ったのに…

やっと別の人生を歩きだせたとそう思ってたのに…


そんな熱いやりとりを目の当たりにした僕は体が凍りつくほどのショックで身動きが取れなくなっていた。

「うち、東京行ってやって行く自信ない。」

(健二、お願いうちを迷わさんといて!)

佐奈は心の中で必死に叫んだ。

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