ガリ勉くんに愛の手を
(お前は今でも俺が好きやろ?)

佐奈の顔をみて健二は確信した。

「あかん。お前はずっと俺の女や。
忘れたんやったら俺が思い出させてやる!」

次の瞬間、健二は佐奈を壁に押しつけ、強引に唇を奪った。

(ゲッ?!?!?!)

これは夢か?幻か?

あまりの衝撃に僕の体は金縛りにあい、そのまま足がもつれて倒れそうになった。

(健二!やめて、お願い…)

佐奈は必死で抵抗した。

どんなにもがいても、健二の腕の中からは逃れる事はできない。

熱くて、懐かしいキス。

やがて、佐奈の体から力がスーっと抜け落ち、身も心も健二に預けていた。

(健二、うちやっぱり…
まだ…健二の事が…)

ガッチャーンッ!!

(え?!)

突然、ビンの割れる音が辺りに響いた。

とっさに二人の重なった唇が離れた。

「誰や!そこにいてるのは?」

健二が大きな声で叫んだ。

(しまった!)

僕は、二人に見つからないようにもつれる足を引きづりながら駅の方へと逃げて行った。

「ホンマ、雰囲気壊すな~。」

(助かった…)

佐奈はほっとした。

自分がこんなにあっさり昔の気持ちを思い出すなんて信じられなかった。

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