ガリ勉くんに愛の手を
―次の日曜日。

(何を着て行こう。)

もう鏡の前で1時間。

こうやってクローゼットの中を見ると本当にデートにふさわしい服など1着もない。

(仕方ない。
この前、買ったTシャツとGパンで行くか。)

以前、チラシ配りをしている時、ジーンズショップのお姉さんに選んでもらった服。

僕自身あまり好みじゃないけど[ミナミ]のお姉さんが選んでくれたんだ。

間違いないだろう。

それより、もっと重要なのはおじさんが考えた[デート作戦]をどうするか。

一度はボツになったけど、おじさんが僕の為にせっかく考えてくれたし、一か八かやるしかない。

(忘れ物はないかな?)

入念にチェックをし、いざ待ち合わせ場所へ…


―映画館の前

待ち合わせ時間より1時間も早く着いた。

もう今からそわそわドキドキでその場でじっとしていられない。

道行く人たちはそんな僕の姿をジロジロ見ながらクスクス笑っている。

(気にしない、気にしない…)

そして1時間後…

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