ガリ勉くんに愛の手を
健二たちはワイワイ、ガヤガヤと盛り上がっている。

でも、うちの心はここにはなかった。

みんなが周りで笑ってる。

健二が隣りで笑ってる。


うちは……

まるで水の底に沈んだぬけがらのように水面から聞こえる音を耳をすまして探しているだけ。

うちの居場所はここにはない。

心の不安が確信へと変わった瞬間。

嫌われた。

その日を境に健二とうちを結ぶ糸はグルグルと複雑に絡まったまま…

それをほどく糸口も見つからず、見知らぬ都会でただ彼を待ち続ける日々を送っていた。

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