ガリ勉くんに愛の手を
「ちあき、私が昔から見る目だけはあなたより上って事覚えてるわよね?」

(ギクッ)

「あなたが大学時代、変な男に騙されそうになった時も私があなたを止めてあげたのよ。

そうじゃなかったら今頃あなたは……」

(またその話…?)

「わかった、わかったわよ。
一応私が会うだけね。」

「さすが、ちあき。話がわかる!」

(人を脅しといてよく言うわ。)

「で、どんな子?」


「ものすごい、イケメンなのよ!」

(ずいぶんな自信ね。)

「わかってると思うけど、これはちゃんとしたオーディションなの。

いくらあゆ美の頼みでも私が会ってだめだと判断したらオーディションには出せないわ。」


「もちろん、わかってる。
でも、私自信があるの。

今まであんな子は見た事がない。」

(あゆ美がそこまで言うなんて…)

「で、どこにいるの?今からでも会える?」

「そ、それが……」

あゆ美が急に黙り込んだ。

「ええっ?!
どこの誰だかわからない?!」

月光仮面じゃあるまいし。
(※昔のヒーローなのでみんな知らないでしょうが…)


「あゆ美、それじゃどうしようもないでしょ?!」

「わかってるわよ。
これからこの[ミナミ]を隅々まで探しまわって絶対見つけ出すから。」

「はぁ~、あんまり期待はしていないけど。
オーディションは来月よ。

遅くても今月末までには東京に連れていらっしゃい。」

「今月中?!」

(きついな。)

「それが無理なら潔く諦めなさい。」

「…わかったわ。でも私ぜったい諦めないから!」

(昔っから強情なんだから…)

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