ガリ勉くんに愛の手を
「それと…もう一つ。」

(まだあるん?)

「男の人に抱かれる時、女って変な癖があってな…」

(変な癖?)

「今、目の前にいてる人が心の鏡に映ってるか見てみ。」

「心の鏡…?」

「その鏡に映ってる人が一生愛する人やから…」

うちはその時、何故母がそんな事を言い出したのか理解できずにいた。

その理由も教えてもらう事無く母は間もなく死んでしまった。

・・・・・・

今、最愛の健二に抱かれている。

うちの心と体はもう健二にあげる。

時は流れ、二人が一つになろうとしていた…

その時、うちの心の鏡にうっすらと映し出された人は…

(健二…?

健二じゃないの?

あんたは誰?

…誰?

……?!)

そこに、映し出されたのは…

(?!)

健二はうちの心を見抜いた。

そして健二の体がうちから離れていった。

(う、うち…今…)

「俺ら、もう終わりやな…。」

(終わり…?)

その一言を言い残し、健二は出て行った。

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