ガリ勉くんに愛の手を
「あ、あの…以前、どこかでお会いしませんでしたか?」

ギャルはクスッと笑って

「もう忘れたん?
いやな事はすぐ忘れるんやな。」

どういう意味??

「まあ、無理に思い出す事ないし。」

…どこで?

「ええよ、返してあげるわ。」

意外とすんなり財布を返してくれるみたいだ。

「はい、
オオガリベン君。」

「あ、あの~
僕の名前は、ベンではなくて、つとむです。

おおがり つとむ。」

「あ、そうなん?!
てっきり おお~ガリベンって読むんかな~と思って。」

(そんなはずないよ。)

「まあ、ええやん。そっちの方が呼びやすいし、これからそう呼ばせてもらうわ。」

(もう、会いたくないし…)

「あ、ありがとうございます。
それじゃ、さようなら。」


何はともあれ、これで一件落着。

だと思ったのは束の間…

「ベン、待って~!」

また?!

(もう、勘弁してよ。)

よっぽど走って逃げたかったがそんな度胸などある訳がない。

「また、いつでも食べにおいでや。」

そう言って一枚のチラシを差し出した。

[ガングロギャル]は僕に背を向け、店の方向へと走って行った。
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